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九つの、物語

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最近引きこもりなワタシ。


ヤル気がいまいちでないので家事も最小限。
ネットもそこそこ。

なので本はよく読んでいます。



ラストが意外な感じと言う本をさがして、みつけたのがこの本。


 
“九つの、物語”    橋本 紡



ある日突然2年前に死んでしまったお兄ちゃんが主人公ゆきなの
もとに帰ってきて一緒に暮らし始める・・・という不思議なストーリー
なのですが。


九つの文学小説(『蒲団』『ノラや』『山椒魚』など)をゆきなが読みながらそれが
本編のストーリーと絡み合って、か面白い展開をしていくのです。


その中でワタシがココロ惹かれたのがトリッペンについて書かれていたところ・・・






“今日はお気に入りの革靴を履いている。

 少し変わったデザインで、甲を横切るような感じで革が縫い合わさっていた。

 トリッペンというドイツ製の靴だ。飼ってから三年ほどたつその靴は、だいぶ
 
 色が変わり、形も少し崩れていた。ただ、真新しいときよりも、今のくたびれた

 姿の方がわたしは好きだった。

 たくさん歩いて、いろんなものを踏んだり、逆に踏みつけられたりして、
 
 この靴はわたしに馴染んだんだのだから。

 わたしもそうして、世間いうものに馴染むのだろう。いろんなものを踏んだり

 逆に踏みつけられたりして、少しずつ変わっていくに違いない。

 いくらか悲しい気もしたけれど、それはきっといいことだった。”



靴バカなワタシには共感できるとこでした。

真新しいよりもくたっとなった靴の方が好きですもん。

履きこむと自分の味が出ますよね。靴を育ててるようで好きです。

・・なのでなかなか古くなってしまった靴でも捨てられないんですけどね(苦笑)。



あともうひとつ



ゆきなにおにいちゃんが毎話美味しそうなお料理を作ってあげてるんですけど、

最後のほうで



“おまえになにか食べさせることは、とても楽しいことだった。

 食べさせることは、命を与えることに等しいんだよ。

 おまえのことを考えながら、いつも料理をしていた。

 おまえがおいしいと言うことばかり願ってたよ。”




料理嫌いなワタシには目からウロコでした。



命を与える・・・とっても大事なんだ。


これからはココロを入れ替えて料理しなくっちゃ・・・と思ったのでした。
by sumoco | 2009-02-25 10:49 | ほん